なるほど栄養学<実践編>それぞれのカラダ事情<2>

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第一に「タンパク質」を

妊娠を希望する女性の栄養アプローチ法

20代・30代は結婚、妊娠、出産を経験するなど、人生において心身ともに充実した時期とも言えます。

 この時期のホルモンバランスが最も安定しており、体力もあり、体の不調を感じにくい時期と言われていますが、仕事や育児で無理をしてストレスや疲れをため込みやすい時でもあります。

 また、この時期の無理なダイエットはホルモンバランスを乱すことになり、「生理が止まる」「不妊」「肌がカサカサ」「うつ」「不眠」「慢性疲労」「顔色が悪い」「イライラ」「髪・爪がボロボロ」などを引き起こすこともあります。これでは女性として輝ける大切な時期を満喫することができませんね。妊娠に最も適した時期ですが、不規則な生活・食スタイル、ストレスフルな状態により、思うように受胎できない方が多くなっています。受胎を希望する女性は「ママになるための栄養」をしっかり考え、いつ受胎してもよい体を作っておくことが大切です。重点的に補いたい栄養素は、①身体の基本である「タンパク質」②酸素の運搬や、コラーゲン、子宮内膜の形成にかかわる「鉄」③細胞分裂に欠かせない「亜鉛」④脳神経の材料である葉酸をはじめとする「ビタミンB群」などです。

 特に、タンパク質は「プロティオス=一番大切なもの」と言われているように、生命そのものの材料です。新しい命を生み出すためには最も大切です。受胎を望む女性は、必要量のタンパク質(別図参照)を取ることをおすすめします。

 妊娠中、体のむくみに悩む人が多いのですが、これはタンパク欠乏の方に多く見られる症状です。タンパク質の一つに「アルプミン」というものがあり、水を保持するスポンジのような働きをしています。これが減ると、水を保持できず、むくみが起こります。同時にアルプミンは体の中で「輸送トラック」の役割も果たし、ビタミンやミネラルといったほかの栄養を働かせるためにも必要不可欠です。

 受胎を希望している方でタンパク不足があり、貧血だという方は、植物性のタンパク質に偏った食生活をするのではなく、肉、魚、卵など動物性のタンパク質も積極的に確保する必要があります。

 低タンパクの食事を続けると、母親にも赤ちゃんにも栄養不足をもたらします。ですから、母親の積極的な栄養アプローチが必要なのです。

 一日に必要なタンパク質の量

 一日に摂取してほしい目安量は、
 体重1kgにつき、妊娠前の人で1~1.5g、妊娠中の人で1.5g~2gです。

 例えば、体重50kgの人の場合、妊娠前では(50×1g~50×1.5g)=50g~75gが1日に必要なタンパク質量の目安で、妊娠中は(50×1.5g~50×2g)=75~100gが必要ということになります。

 ちなみに、授乳中は母乳にタンパク質を11gほど分泌するため、この分を加えて摂取する必要があります。

 

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