なるほど栄養学<実践編>それぞれのカラダ事情<1>

が投稿

初潮前からの貧血注意

「女性のための栄養」乳児小児期から思春期編①

今回は、栄養の実践編!

テーマごとに栄養アプローチを紹介します。第一回のテーマは「女性のための栄養」についてです。

女性の一生は性機能の面から、5つのステージに分けられます。

①乳児小児期(0~10歳)

②思春期(10~20歳)

③性成熟期(20~40歳半ば)

④更年期(閉経後の45~55歳)

⑤高齢期

今回は、①と②を説明します。

 初潮を迎えていない小児乳児期は、鉄の喪失量は少ないように思われがちですが、1年に5センチ、10センチと身長が伸びる時期は、かなりの割合で貧血になっています。体の成長に鉄分が消費され、供給が追いつかず、初潮を迎える前に鉄欠乏になることも珍しくありません。

 鉄は、軟骨の形成に関与しているため身長の伸びに深く影響します。個人差はありますが、初潮を迎えると体内鉄が月経へ消費されるため、身長の伸びが穏やかになります。加えて月経による鉄喪失でさらに貧血を招いてしまいます。ですから、女の子は早い時期から鉄の多い食事を心掛け、必要ならサプリなどで鉄を補充する柔軟な食スタイルも必要だと思います。

 中学に入ると部活などで体をハードに動かす機会も増え、なおさら鉄需要量は増えます。(汗1リットルにつき、0.5ミリグラムの鉄が喪失)

 思春期は母体としてのベースが完成する時期です。過剰に体重を落とすと、ホルモンバランスが乱れて、月経が止まることもあります。無月経の状態が続くと、のちのち骨に影響が出たり、肌にハリがなくなる、不妊などさまざまな不調につながります。月経のある女性は一日に10.5ミリグラム~11ミリグラムの鉄の摂取が推奨されるほか、鉄以外にも、造血にかかわる葉酸、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12の補給も必要です。

 鉄が不足すると赤血球は全身に酸素を運ぶことができなくなり、体内は酸欠の状態になります。その結果、めまいや息切れ、脱力感などが現れることになります。さらに間違ったダイエットで、上記の症状以外にもイライラや神経過敏、うつなどの精神症状を訴える女性も多くみられます。食事からのタンパク質やカルシウム、ビタミンなどの摂取不足の症状の鉄欠乏の症状と同時に現れていることもあり、食事内容と生活スタイルのチェックが重要です。

 わが子は大丈夫?鉄欠乏チェック

 ▢ 朝起きにくい
 ▢ 体育の授業についていけない
 ▢ 学校から帰るとゴロゴロしている
 ▢ 集中力がない
 ▢ 全身のダルさや肩こりを訴え、目まいを起こしやすい
 ▢ 食欲不振
 ▢ 午後の授業で居眠りする
 ▢ 動悸・息切れがはげしい
 ▢ 頭痛・頭重を訴える
 ▢ 冷えやすい・寒がり

 乳児小児期、思春期のチェック項目です。3つ以上当てはまれば鉄欠乏の疑いあり。より積極的な鉄の補給を心掛けましょう。

 

< 目次 | 2.妊娠を希望する女性の栄養アプローチ法