なるほど栄養学 現代人のカラダ事情<47>

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食品含有量は年々低下

「壊血病」で発見 ビタミンC

 皆さんは「壊血病」という病気を聞いたことがありますか?

 大航海時代に船乗りがかかった病気です。長年、その原因が分からず海賊以上に恐れられていました。実はこの病気、ビタミンCが欠乏することで起こります。ビタミンCは、1753年に英国の海軍医師によって「壊血病予防因子」として発見されました。しかし、この貴重な発見は40年間も無視され、その間も多くの船乗りが壊血病で命を落としました。

 長い船旅による偏った食生活がビタミンCの欠乏を招き、体内コラーゲンの合成が弱まって血管や組織が壊れ、皮膚や粘膜などから出血、精神的にはうつ錯乱といった症状をきたします。ひどくなると、全身から出血して体が黒くなり死に至ります。その後、壊血病はレモンジュースを配るという実に単純なことで解決しました。

 ビタミンCは体内で、①活性酸素の消去②LDLコレステロールの酸化抑制③酸化されたビタミンEの再生④コラーゲン合成の促進⑤神経伝達物質合成促進⑥カルニチン合成促進⑦胆汁酸(脂肪・コレステロールの分解)合成促進⑧メラニン産生抑制⑨抗アレルギー作用⑩インターフェロン合成促進・白血球・マイクロファージの活性化など、多彩な働きをしています。

 特に、強烈な抗酸化作用やインターフェロン産生の強化、白血球の活性化などの作用により、身体の免疫機能を高める働きがあります。がん患者がビタミンCを摂取すると、延命効果が出ることは明らかになっており、それは摂取量が多いほど顕著に示されています。

 実は、哺乳類の中でビタミンCを生合成できないのは人間とサルとモルモットだけです。(図参照)私たちは、食物から摂取するのですが、その量はわずか一日100㎎程度(壊血病を防ぐ程度)。近年では、食品中のビタミンC含有量が著しく低下しています。例えば食品成分三訂(1963年)から五訂(1997年)への変化をみると、ほうれん草100㎎→35㎎、ピーマン100㎎→76㎎、キャベツ50㎎→41㎎と大幅に減っていることが分かります。また、調理中にも損失しやすいので注意が必要です。

 動物のビタミンC生合成量

 多くの動物は毎日体内でビタミンCを作り、ストレスを受けるとさらに大量のビタミンCを作り出すことが分かっています。図を見ると、人のビタミンC摂取量の少なさが分かると思います。

 ~動物が一日に作るビタミンC量~
 ヤギ・・・11400㎎
 マウス・・・16500㎎
 ウサギ・・・13540㎎
 イヌ・・・2400㎎
 ネコ・・・2400㎎
 ラット・・・1540㎎
(体重60kgに換算した量です)

 

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