なるほど栄養学 現代人のカラダ事情<43>

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うちなー野菜に豊富

カルシウムの兄弟「マグネシウム」

前回説明しました、カルシウムの兄弟分である「マグネシウム」について説明します。

 マグネシウムは身体に必須のミネラルとして、骨や筋肉、脳や肝臓などの軟組織、そして血液中に分布しています。代謝をつかさどる300以上の酵素の働きに関与し、①細胞内のエネルギー合成と貯蔵、②たんぱく質合成、③神経伝達の制御(興奮やイライラを抑える)、④心機能の維持、⑤筋収縮、⑥血管運動神経亢進、⑦血圧調節-などに働いています。

 その他にも脂肪燃焼、コレステロール合成抑制作用、脂肪分解作用により肥満防止、脂質代謝改善、動脈硬化抑制などの効果も分かっています。近年では、マグネシウムを積極的に取ると虚血性疾患防止に役立つとの報告もあります。

さらに、カルシウムが細胞内へ流れ込むのを抑制する働きもあります。カルシウムが過剰に細胞内に流入すると、筋痙攣、脳血管の痙攣及び高血圧などを引き起こすため、マグネシウムは、「天然カルシウム拮抗剤(ブロッカー)」と呼ばれて、細胞内のカルシウム濃度を調節し痙攣を防ぐ働きをしています。カリウム、リンなどその他のミネラルとも深く関係しており、マグネシウム補給を中止すると、その他のミネラルの血中濃度が乱れたのに対し、補給している期間は、血中濃度が維持されることが分かっています。

 しかし、現代人の多くは、ストレスやアルコール、カフェインの過剰摂取、加工食品の摂取及び薬剤服用などから慢性的なマグネシウム不足にあると言われています。

 従来の日本の食事ではカルシウムの摂取量が少なかったのですが、近年ではカルシウムの摂取量も増大し、マグネシウムの必要量も高くなっています。不足すると様々な症状や疾病リスクが高くなるため、カルシウムとのバランスを考えた摂取が必要となってきます。

 食品では、魚介類や海藻、豆類、野菜に多く含まれます。また、サンゴ礁でできている沖縄は、土壌中のミネラルが豊富なため、そこで育った島野菜は県外の野菜に比べるとマグネシウムを多く含みます。

 マグネシウムが不足すると

 ① 神経障害:抑うつ、記憶障害、幻覚、錯乱、こん睡、不眠
 ② 血液循環の悪化:だるい、しびれ、頭痛
 ③ 異常知覚:身体がチクチク、ムズムズ
 ④ 筋肉の過度の収縮:こむらがえり、高血圧、脳こうそく、心筋梗塞、狭心症
 ⑤ 血小板の凝集を過度に促進
 ⑥ だるい、冷え性、低体温
 ⑦ 不整脈、頻脈
 ⑧ 胃腸障害
 ⑨ 腎臓結石、胆石、動脈硬化(カルシウム・パラドックス)
 ⑩ 歯の健康を損なう
 ⑪ 肥満・高脂血症
 ⑫ アルコール依存

などが起こることもある

 

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