なるほど栄養学 現代人のカラダ事情<42>

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牛乳や野菜類がベター

カルシウム 効率よく補給

 「体」の旧字体は、「體」-「骨が豊か」と書きます。台湾や香港などでは今でも使っている字だそうです。それほど「体の健康」と「骨」には密接な関係があります。

 成人のカルシウムの必要量は、十分に摂取したい更年期女性であっても一日で650㎎と、低く設定されています。日本人の多くがカルシウム不足だということを考えると、最低でも800㎎~1000㎎を摂取目標にしたいものです。

 では、カルシウムを効率よく補給するには、どの食品から補給すると良いのでしょうか?

 カルシウムを多く含む食品は、牛乳や乳製品をはじめ、小魚や小松菜などの緑黄色野菜、豆腐や納豆などの大豆製品などが挙げられます。吸収率はそれぞれ異なり、小魚が約30%、野菜が約20%なのに対して、牛乳は約40%となっています。

 図を見ても分かるように、しらす干しは牛乳の5倍近くもカルシウムを含有していますが、一度に食べる量が少ないこと、通常の食事での摂取頻度、吸収率を考えると、効率よく摂取するには、やはり牛乳や乳製品、野菜類、大豆食品などが最適と言えるでしょう。

近年、牛乳に対して「太る」「日本人には合わない」「腸に負担をかける」という印象をお持ちの方もいるようです。

しかし、米国の研究で「エネルギー摂取量が1900kcal以下の場合、カルシウム摂取量が多い人ほど、体重および体脂肪量の増加が抑制される」という報告を受けて日本で行われた調査では、「牛乳や乳製品を取らない人に比べて摂取が多い人にはメタボリックシンドロームの有病率が少ない」という結果が報告されています。

 さらに、女性の場合は牛乳や乳製品の摂取が多いほど「腹囲」「BMI」「中性脂肪」「血圧」が低く、善玉コレステロールの「HDL」が高い傾向にもあるようです。量ではなく、毎日、少量でも摂取できると良いでしょう。

 ただし、冷たい牛乳を水代わりにがぶがぶ飲むのは、あまりお勧めしません。日頃からしっかりとカルシウムを摂取し、適度に身体を動かすことが大切です!

 100gあたりのカルシウム含有量

 しらす干し(半乾燥品)・・・520㎎
 ヨーグルト(全脂無糖)・・・120㎎
 普通牛乳・・・110㎎
 わかめ(水戻し)・・・130㎎
 にんじん(ゆで)・・・30㎎
 キャベツ・・・43㎎
 小松菜(ゆで)・・・150㎎
 糸引き納豆・・・90㎎
 絹ごし豆腐・・・43㎎
 木綿豆腐・・・120㎎

 マグネシウムと一緒に

 カルシウムとマグネシウムは「兄弟ミネラル」と呼ばれるほど、密接な関係があります。1:1で取るのが理想的です。特にサプリメントでカルシウムを取る場合には、マグネシウムも忘れずに。このバランスが大きく崩れると、筋肉の収縮に異常が生じたり、糖尿病や心筋梗塞などを悪化させることにもなります。

 

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