なるほど栄養学 現代人のカラダ事情<38>

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むくみ軽減 美肌効果も

一躍人気者に「トコトリエノール」

 前回、ビタミンEは「トコフェノール」と「トコトリエノール」に分類されるという話をしました。この中でもトコトリエノールには女性にうれしい効能がたくさんあることが分かっています。今回は女性必見!の話をしましょう。

 実は今まではトコフェノールこそが強い抗酸化作用を持つため、「ビタミンEの中でも働き者!」だと考えられてきました。しかし近年、「トコトリエノールにも何か効能があるのでは?」ということで、研究がスタートしました。

 すると、今までに日陰にいたトコトリエノールに、トコフェノールにもない効能がいくつも発見されたのです。(詳しくは別紙参照)

 例えば、過剰なナトリウムや水分を排泄する働きをするため、食塩の取り過ぎや月経前症候群(PMS)、むくみなどを軽減することが確認されています。

 また、医薬品や健康食品の開発、製造企業として有名な「エーザイフードケミカル」によると、中高年に見られる皮膚のしみの原因となるメラニン生成の抑制にも効果があると報告をしています。ほかにも目の周りのしわの減少、毛穴を目立たなくさせるなど、美肌効果もあるそうです。

 さらに、腫瘍細胞のアボトーシス(自然死)を誘導することが認められています。

 こんなにも魅力的な生理作用を持つトコトリエノールですが、摂取する際は、やはりトコフェノール類と同時に取ることがポイントとなってきます。

 ちなみに、トコトリエノールは、米、大麦、小麦などの穀類やパーム油や米ぬか油など、天然の植物油に含まれています。しかし、もっとも多く含むパーム油でも、その含有率は0.1%ほどと微量なため、通常の食卓からトコトリエノールを摂取するのは難しいでしょう。

 最近では、トコトリエノールを含むサプリメントなどを多く見かけるようになったので、それらを活用するのがおすすめです。メタボ気味な方はもちろん、女性は毛穴の改善、しわの改善、美白など美肌効果が期待できるので、積極的に取り入れると良いでしょう。

 トコトリエノールの働き

 長年トコフェノールの影に隠れていたものの、今やその効果・効能から「スーパービタミンE」として注目を集めているトコトリエノール。その働きは下記のようなものが挙げられます。

 ① コレステロール低下作用
 ② 動脈硬化改善作用
 ③ 制ガン作用
 ④ 赤血球変形能改善効果
 ⑤ 紫外線障害抑制作用
 ⑥ 神経変性疾患予防・抑制
 ⑦ 組織損傷の防止
 ⑧ 高血圧予防
 ⑨ 脂質代謝改善等

 

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