優れた栄養素 多く含む
卵とコレステロール値の誤解
卵はきわめて栄養価の優れた食品です。しかし、一方では「血中コレステロール値を上げる」という説があり、卵を敬遠してしまっている人も少なくないと思います。
これは、卵に含まれるコレステロールについて、誤った常識が定着したためのようです。実際には高脂血症などの病気の方を除き、大半の人は卵を控える必要はほとんどありません。その誤解はどこからきたのでしょうか?
今から約100年前に、ロシアの病理学者ニコライ アニチコワらが、ウサギにコレステロールを与える実験を行いました。結果、ウサギの大動脈にコレステロールが沈着して動脈硬化が起こったことから「コレステロールが動脈硬化の原因である!」と発表しました。すると、これがもとになり、コレステロールを多く含む卵がやり玉にあげられ誤解を招いたようです。
しかし、ウサギは草食動物であり、動物性脂質を多く与え続けると血中コレステロール値が上昇するのは当然のことだと言えます。
一方、人はコレステロールを含む食品を取っても、腸管から吸収されるのはせいぜい0.3g~0.5g(卵2個分)で、残りは排泄されます。肝臓ではその3~5倍のコレステロールが合成され、ホルモンや細胞膜、脳神経伝達物質の材料などに活用されています。
ですから、食事で取ったコレステロールがいきなり血中コレステロールに影響することはありません。
コレステロール値の調整が上手くいかない方は「家族性高コレステロール血症」の疑いもあります。リポタンパクaを計測してみてください。対処としては、ビタミンB3やE、Cを取ることです。
卵は良質のたんぱく質やビタミン、ミネラル、脳内の神経伝達物質の原料となるコリンを含みます。低栄養状態に陥りやすい高齢者にはおすすめの食材です。また、タンパク質やコリンは胎児や成長期には特に大切な栄養素です。さらにコリンは、動脈内壁に付いた悪玉コレステロールを血液に溶け込ませて排出する働きを持っていますから、逆に動脈硬化予防にも良いといえるでしょう。
卵は食事の満足度を上げるという報告もあります。過食を防ぐ意味でも食事に取り入れてみてください。
こんな人はコリン(卵)を! |
卵には、タンパク質をはじめ、優れた栄養素がたくさん含まれています。中でも「コリン」は、現代人にとても必要な栄養素です。以下のことが気になる方は、卵を食事に取り入れるように心がけましょう。 ▢ 最近、物忘れが多くなってきた |
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