免疫活性し感染症抑制
「ビタミンD」の働きといえば?
ビタミンDの主な役割は、カルシウムやリンの吸収を促進して骨を作ることだと考えられていました。しかし近年、免疫と密接に関係した働きがあり、むしろそれがメーンだと分かってきました。
ビタミンDは、免疫系を活性化させ、あらゆる感染症の抑制に働きます。細胞増殖抑制は、多くのがんに対して有効だという報告もあります。他にも細胞分化抑制、免疫応答抑制の作用もあり、ビタミンというよりも、ステロイドホルモンの一種として作用を発揮していると考えられます。
米国の研究では1000IU/日(25μg)のビタミンDを取れば、がんのリスクを低減できると報告されています(米国臨床栄養学会誌)。大腸がんにおいてはビタミンDの血中棒度が高くなるにつれて、発生頻度が低下するとの報告もされています。
しかし、日本人の食事からの平均ビタミンD摂取量は、わずか約320IU/日(8μg)にすぎません。ビタミンDを豊富に含む食品は、魚介類、卵類、きのこ類などです。食べ物から取るほかにも、日光を浴びると体内でもある程度作られます。
ビタミンDが不足すると、骨や歯の形成が上手くいかなくなり、乳幼児ではくる病、成人では骨軟化症の原因にもなります。老人の転倒予防にも、カルシウムとビタミンDを併用投与すると筋骨格系の機能が高まり、そのリスクが減ることも分かっています。ビタミンDを十分に取ることは、健康な骨の維持だけでなく、免疫活性化や感染症、アレルギーやがん、肥満、2型糖尿病、循環器疾患などのリスクの低減にも影響を与えます。
一方、ビタミンDの取り過ぎは、高カルシウム血症、腎障害、軟組織の石灰化など過剰症を招く恐れがあります。通常の食事から過剰症になることはほとんどありませんが、薬などからの摂取は過剰の危険性があるため、医師の指導下での摂取が必要です。
サプリで摂取する場合は、ビタミンDの前駆体である25-(OH)VD3という成分表示があるものを用いると良いでしょう。
ビタミンDを多く含む食材 |
動物性の食品ではアンコウの肝、イワシ、ニシン、スジコ、イクラ、サケなどの魚や魚卵などに多く含まれます。 植物性の食品ではキクラゲ、マイタケ、シイタケなどのキノコ類などに多く含まれています。 |
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