関節炎の改善 肌活性も
インド乳香「ボスウェリア」
別名「インドの乳香」と呼ばれるハーブ「ボスウェリア・セラータ」について紹介します。樹脂は、「お香」としても使われ、たくと非常にいい香りがします。その樹脂は、現地ではミルクやレモンジュースと混ぜて食されたり、ガムの原料や香料として用いられています。
ボスウェリアは、インド医学アーユルヴェーダの世界では、リウマチ・関節炎・高脂血症の治療に用いられてきました。近年、この樹脂に含まれる「ボスウェリン酸」という成分に抗炎症作用があることが確認され、炎症に関するさまざまな代謝疾患の天然治療剤として期待されています。
「関節の痛み」で悩む人は増えていますが、関節の痛みや炎症は、体内で「5-リポキシゲナーゼ」と呼ばれる物質が痛みなどの原因物質を生成することで起こります。
ボスウェリン酸は、この5-リポキシゲナーゼを選択的に阻害して、痛みの原因物質の生成を抑制することで疼痛(とうつう)の緩和や炎症を抑えることが確認されています。関節や軟骨の主成分の一つであるヒアルロン酸が破壊されるのを防いだり、肩こりや胃炎、炎症性の腸疾患などにも発揮することが分かています。
これまで関節炎対策のサプリメントでは、グルコサミンやコンドロイチンがよく知られていましたが、最近ではボスウェリアとの併用がより有効だと考えられており、関節症状に対する機能性食品素材としても注目を集めています。
さらに炎症や痛みの緩和で用いられる非ステロイド系消炎鎮痛剤は、長期で服用すると胃腸などへの負担が懸念されていました。しかしボスウェリン酸は、抗炎症や疼痛緩和に働きつつ、胃粘膜を保護する成分の産生は阻害しないため、胃腸などへの負担が少なく、妊娠中でも使用が可能です。
ボスウェリン酸は脂質代謝の改善にも有効で、血中コレステロール値および中性脂肪値を低下させることも分かっています。昨年の報告ではボスウェリン酸が肌老化の改善や肌の活性化、皮脂バランスの改善、殺菌作用にも効果を示すことが発見され、これからの活用が期待できる天然素材です。
こんな人におススメ |
▢ 関節が痛い |
参考文献/The yoga of herbs by Dr David Frawley and Dr Vsant Lad.J Ethnopharmacol.2009Jan21:121(2):241-7.
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