なるほど栄養学 現代人のカラダ事情<53>

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女性を助けるハーブ

若返りの薬「シャターヴァリー」

 インドの伝統医学「アーユルヴェーダ」の医師たちは、身体の組織や個々の細胞がどう劣化していくかをよく理解し、ラサーヤナ薬(若返り薬)についても研究を進めていました。これまで紹介してきたラサーヤナ薬、「アムラ」、「アシュワガンダ」そして、今回紹介するハーブを加え、“アーユルヴェーダの三大ハーブ”と呼ばれています。今回は、ラサーヤナ薬の中でも、女性の健康サポートにおいても絶大な人気を誇る、若返りハーブ「シャターヴァリー」を紹介しましょう。

 シャターヴァリーは、南インドやアフリカに自生するアスパラガス科の植物です。根を砂糖漬けにしたり、根を乾燥させて粉末を、ミルクとともに飲用してきました。

 シャターヴァリーとは、サンスクリット語で「100人(シャタ)の夫(ヴァリー)をもつ」という意味があり、女性への強壮効果の強さがうかがわれます。アーユルヴェーダではシャターヴァリーは、女性の生殖器に対する強壮と若返り効果があるとされ、女性ホルモンの正常化を助ける植物性エストロゲンと、免疫を強めてストレスを軽減し、老化を防ぐ滋養分を多く含むと説明しています。

 根(地下茎)は多くのサポニンを含有し、女性ホルモンバランスの調整を助けることにより、イライラや気分の浮き沈みといった月経前症候群や更年期症状の軽減、また授乳期の女性の母乳分泌の促進にも有効とされています。

 また、シャターヴァリーに含まれる有効成分「シャターヴァリン」は、体内での自然なエストロゲン産生をサポートするといわれてます。女性のためのハーブとしてだけでなく、最近の研究ではリンパ球レベルと免疫機能をサポートする働きがあり、ビタミンCに匹敵する、過酸化脂質に対する抗酸化が確認されています。アシュワガンダー同様、化学的な論文数はわずかですが、インドをはじめ欧米などでは広く認知され、注目を集めています。アーユルヴェーダでは生理不順、不妊症や更年期障害に悩んでいなくても、女性なら、健康維持のために薦められるといわれるほど頼もしいハーブです。

 アーユルヴェーダにおけるシャターヴァリーの適用範囲

 ① 女性ホルモンのサポート
 ② 生理不順
 ③ 子宮摘出・卵巣摘出
 ④ 月経前症候群
 ⑤ 不妊症
 ⑥ 母乳の分泌促進
 ⑦ 更年期症状
 ⑧ 男女共通の生刺激薬
 ⑨ 精子の数と運動性改善
 ⑩ 女性の若返り薬
 ⑪ 胸焼け
 ⑫ 消化不良
 ⑬ 下痢

 ※その他にも、オイルを混ぜて外用すると、硬化した関節、頸部、筋肉のけいれんなどにも効果があるとされ、アーユルヴェーダトリートメントで利用する場合もあります。

参考文献/The yoga of herbs by Dr David Frawley and Dr Vsant Lad.J Ethnopharmacol.2009Jan21:121(2):241-7.

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