なるほど栄養学 現代人のカラダ事情<52>

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滋養強壮、抗ストレスに

欧米でも注目「アシュワガンダ」

 今回紹介するハーブ「アシュワガンダ」も、前回の「アムラ」と同様、インド医学(アーユルヴェーダ)で最重要ハーブとして扱われています。独特な臭いから、サンスクリット語で、馬の臭いを放つ=馬の活力と精力を与えるという意味=「アシュワガンダ」という名前が付けられています。学名(ラテン語)はWithania somnifera と表記されます。Somnifera=「睡眠を催す」との意味を持ち、代表的な効能を示唆しています。

 アーユルヴェーダにおいて、「ラサーヤナ(若返り薬)」と位置付けられているアシュワガンダの適応範囲は広く、心身のバランスを整えたり、滋養強壮、関節炎を含めた抗炎症作用などが挙げられます。別名インドジンセンとも呼ばれ、朝鮮ニンジンよりも安価で子供からお年寄り、妊娠中の女性にも使用できる安全なハーブとして古代から用いられてきました。

 また、「馬の活力と精力を与える」との名を持つだけあり、男性向けのアーユルヴェーダ薬の70%に処方され、強精剤として欧米でも支持を得ています。さらに、中枢神経系に対する神経細胞賦活作用にもその効果を発揮します。例えば、「仕事での肉体的、精神的ストレスが加えられた時に適応できる力を向上させ、過酷なストレスに適応できる力を与え、精神力の強化に有効である」と説明され、不眠や神経疲労が原因のあらゆる神経衰弱にも用いられてきました。

 近年、アシュワガンダに関する研究で注目されている話題は、①抗悪性腫瘍作用②不安・抑うつ状態に対する有効性③神経変形疾患(ダメージをうけた脳)への有効性④パーキンソン病への有効性⑤副腎疲労症候群に対する有効性などです。

 アシュワガンダに含まれる成分「ウィザノライド」は、神経変形疾患(アルツハイマー型認知症やパーキンソン病など)の治療成分を考える上で、有力な候補として期待されています。古代から、滋養強壮、強精、肉体疲労、神経疲労の回復に用いられてきたアシュワガンダは、現代人の多くが悩む、あらゆる不調やストレスに打ち克つハーブとして期待されてきます。

 アシュワガンダとは

 ナス科の植物で高さ1m~1.5mほどにまで成長するインド原産の植物。パキスタン、スリランカ、アブガニスタンなどにも自生する。活性成分が多く含まれるのは主に根や葉。アシュワガンダに関する文献や論文は多くなく、現段階では動物試験やインビトロ(試験管内)での有効性にとどまっているものがほとんど。だが、それらの研究は新たな可能性を示唆するもので、世界中から注目を集めています。

参考文献一部/(Life Sci 2003Nov21:74(1):125-32.)、(Phytomedicine.2000Dec:7(6):463-9.)、(J Ethnopharmacol.2000Apr:70(1):57-63)、(Altem Med Rev,2000Aug:5(4):334-46. )、(J Ethnopharmacol.2001Jan:74(1):1-6.)、(Hum Exp Toxicol2005Mar:24(3):137-47)、(Br JPharmacol2006Apr:144(7):961-71.)

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