強い抗酸化作用が特徴
インド医学で重宝される「アムラ」
これまで、さまざまな栄養素を紹介してきましたが、これから4回は、少し変わった機能性をもつ植物を紹介しましょう。
皆さんは「アムラ(アマラキ)」という植物を聞いたことがありますか?「アムラ」はアーユルヴェーダというインド医学において、最も重要な薬としてその古典に記載されている植物です。果実には酸味と苦味があり、漬物やジャムなどの食品に加工して、食されてきました。インドでは熱した果実を生で食することがありますが、漬物やジャムがやはり一般的です。
アーユルヴェーダでは、アムラを「若返り薬」と呼び、最も優れた強壮剤として用い、長年にわたって有効性と安全性を実証してきました。
しかし、世界的にはまだまだ認知度の低いものでした。近年、アムラの持つ多様な薬理活用が確認され、抗酸化、抗炎症、血栓予防などの作用から循環器系疾患の予防に、また、肝臓保護作用、抗がん作用、抗ストレス作用、滋養強壮作用など、さまざまな働きが期待され、臨床研究に応用されはじめています。
これまでアムラには、熱や加工にも強いビタミンCが多く含まれているといわれてきましたが、アムラのビタミンC含有量はわずか(100gの生果実中34~38㎎程度)です。真の魅力は、エラグ酸、βグルコガリンといった強い抗酸化物質を多く含むことだといわれています。脂質代謝の研究では、アムラに脂質改善作用があることも分かっています。動物試験では、アムラエキスの摂取量に比例してコレステロール低下作用が高くなり、総コレステロール、LDLコレステロールを減少させ、HDLコレステロール(善玉)値は上昇させることが確認されています。人の脂質異常症においてもアムラの内蔵脂肪蓄積予防に対する有効性が確認されています。(2007年日本栄養・食糧学会大会)
最近では、アムラの持つメラニン生成阻害作用から化粧品としても注目を集めています。アーユルヴェーダでは10万種類以上の薬が紹介されています。その薬の75%にこの「アムラ」が使用され、「止齢剤」と呼ばれるのもうなずけます。
アムラの働き |
アムラの果実。直径4㎝程度、梅干し大。日本では「インドスグリ」とも呼ばれている。 ① 抗酸化作用 |
参考文献/「Indian Journal of Pharmaceutical Sciences2006 :67(4) :437-441」、「J Nutr Sci Vitaminol(Tokyo),2005Dec : 51(6) :413-8.」、「J Agric Food Chem,2009Jan14:57(1) :220-5 」、「Phytother Res,2009Jan27,」、「J Ethnopharmacol. 2006Mar8:io4(1-2):113-8.」
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