なるほど栄養学 現代人のカラダ事情<50>

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体の「保水力」を左右

「コンドロイチン硫酸」と「グルコサミン」

 近年、サプリメントや健康補助食品として、広く認知されている「コンドロイチン」と「グルコサミン」。その役割を説明しましょう。

 骨をつなぐ関節や軟骨、じん帯をはじめ、細胞と細胞を結び付けている組織には、多くの水分が含まれています。その水分をとどめている働き、つまり「保水力」は、身体になくてはならないものです。その保水力が衰えると、細胞に栄養素を運ぶ力が落ち、細胞組織も衰えてきます。その結果、皮膚にみずみずしさがなくなり、関節痛、老眼などを引き起こし、老化の原因になるのです。

 この保水力を左右するのが、ムコ多糖類(プロテオグリカン)という物資の働きです。「コンドロイチン硫酸」はこのムコ多糖類の1種で、軟骨や皮膚、血管やじん帯、粘液などに広く分布し、結合組織の機能維持に働いています。

 しかし、加齢に伴ってその合成能力は低下し、10代~30代のころの合成能力を100とすると、40代で60、60代では45にまで低下することが分かっています。また、年を取ると軟骨などに「ねばりがなくなる」と言われていますが、実際に体の中の「ネバネバ物質=ムコ多糖類」も加齢とともに減少し、お年寄りの軟骨では、著しく欠乏していることが分かっています。

 身体のムコ多糖類の生成には、6種類のムコ多糖(①ヒアルロン酸②コンドロイチン硫酸③ヘパリン④へバラン硫酸⑤ケラタン硫酸⑥デルマタン硫酸)が不可欠です。これらのすべての元となる成分が「グルコサミン」です。

 グルコサミンは、動物の皮膚や軟骨、甲殻類の殻に含まれている一種です。身体の各組織に十分な水分を与えるためには、ムコ多糖類を作り出すことが必要不可欠です。そしてその材料となるグルコサミンが必須となります。

 サプリメントで取る場合は、コンドロイチン硫酸とグルコサミンが一緒に取れるものが体内での利用効率が良いです。サプリメントや栄養補助食品などでも補給することも出来ますが、食品では、フカヒレ、魚眼、牛軟骨、テビチ、若鶏のスープ、魚の煮こごり、オクラ、山芋、なめこ、納豆などに含まれています。

 悩みの多い「老化と軟骨」

 私たちの関節には、骨と骨の間にクッションの役目をする軟骨があります。この軟骨が老化によりすり減ると、上下の骨が直接ぶつかるようになり、痛みが出てきます。これが「変形性関節痛」で、膝や股関節によく発症します。関節軟骨は、軟骨細胞とその間を埋める結合組織によって成り立っています。結合組織には前述したようにコラーゲン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸が含まれていますから、関節の健康を考えると結合組織の主要構成成分である「グルコサミン」はとても大切な物質と言えるでしょう。

 

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