なるほど栄養学 現代人のカラダ事情<49>

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がん予防・治療に有効か

ビタミンCの意外な事実

 実は、ビタミンCは、無色透明で強い酸味はありません!

 多くの果物に含まれているため、黄色くて酸味の強いイメージがありますが、ビタミンCを豊富に含むカリフラワーやジャガイモの味を想像すれば、なんとなく分かりますよね。あの酸味の正体はビタミンCではなく「クエン酸」です。

 以前から、ビタミンC摂取量とがん発症率には逆相関が認められています。特に消化器がんや呼吸器のがん予防に有効と言われています。呼吸器はさまざまな大気中の汚染物質に絶えずさらされています。特に肺は多くの外来異物が接し、異物や活性酸素の攻撃を受けやすい場所です。ビタミンCの摂取は、これらの酸化ストレスの防御に役立ち、呼吸器系のがん予防に有効だと確認されています。

 前回、体内でビタミンC濃度が高い組織は「副腎、脳下垂体、目の水晶体」だと紹介しましたが、これらの組織以外にもビタミンCは高濃度に存在していることが分かっています。それが胃(胃液中)です。

 人は1日に約2.5ℓの胃液を分泌しています。胃液中のビタミンCは、さまざまな発がん物質の無毒化に寄与していることが確認されています。発がん物質として知られている「二級アミン」(魚に含まれる)やハム、ソーセージなどの発色剤として添加されている「亜硝酸塩」は胃内で「ニトロソアミン」という発がん物質を生み出します。ビタミンCはその生成を抑制しています。これらの食品に、必ずビタミンCの添加が義務付けられているのも頷けますね。

 また、近年注目されているヘリコバクター・ピロリ菌は、胃がんの発生と深くかかわっています。そのピロリ感染者の胃液中のビタミンC濃度がゼロだということ(ほとんどないこと)が確認されており、胃がんとピロリ、そして、ビタミンCとがん予防を示唆する報告だと言われています。

 ほかにもビタミンCには免疫力の増加作用など、がん予防の可能性が続々と報告されています。

 かつて、ライナス・ポーリング博士がビタミンCによるがん予防と治療の可能性を提唱して以来、それがスタンダードとなる日が遠くないことを確信しています。

 食材別ビタミンC量(100g)

 意外にも柑橘類だけでなく緑黄色野菜や芋類にも含まれています。芋類に含まれるビタミンCは熱に安定しています。※食材の魅力はC含有量だけで評価することはできませんので…。
 赤ピーマン・・・170㎎
 芽キャベツ・・・110㎎
 ニガウリ・・・76㎎
 ブロッコリー・・・54㎎
 カリフラワー・・・53㎎
 長命草・・・47㎎
 パパイヤ・・・45㎎
 トウガン・・・39㎎
 ヨモギ・・・35㎎
 紅芋・・・29㎎
 ヘチマ・・・5㎎
 アセロラ・・・1700㎎
 グァバ・・・220㎎
 レモン(全果)・・・100㎎
 タンカン・・・53㎎
 パイナップル・・・27㎎
 島バナナ・・・16㎎
 シークワーサー・・・11㎎

 

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