なるほど栄養学 現代人のカラダ事情<32>

が投稿

アトピー性皮膚炎改善

皮膚や髪のビタミン「ビオチン」

 ビオチンは、皮膚や髪、頭皮を健康に保つ、ビタミンB群のひとつです。近年では、美肌効果やアトピー性皮膚炎の改善、脱毛の予防で注目されています。 

 ビオチンは、糖質、脂質、タンパク質の代謝に必要な酵素の機能をサポートする「補酵素」としても働いています。その中でも、疲労物質としてよく耳にする「乳酸」の代謝にもかかわっているため、不足は筋肉痛や疲労感などといった症状に直結します。ほかにも、不足すると免疫機能やコラーゲン生成の低下、結膜炎、うつ病などを発現することも分かっています。

 これまでビオチンは、腸内細菌によって十分量が生産されるので摂取不足になることはないと理解されていました。しかし、生体内での働きが解消されるにつれ、摂取の重要性が分かってきています。

 不規則な生活や食生活の乱れ、ストレス、お酒やコーヒーの過剰摂取や腸内環境が悪い場合などは、ビオチンの生成が不足します。ストレスが多く、食生活や生活パターンが乱れている現代人は、積極的に摂取したいビタミンです。

 もともと、皮膚病の治療に効果があると言われてきたビオチンですが、現在ではアトピー性皮膚炎などの治療にもビオチンが用いられています。乳幼児は、ビオチンの生産や吸収が低いので、ビオチン不足になり、タンパク質の合成や免疫機能などが低下して、結果、アトピー性皮膚炎が発症するのではないかと言われています。現に、アトピー性皮膚炎の乳児にビオチンを投与したところ、症状が改善したとの報告もあります。

 もちろん皮膚や粘膜形成にはビオチンだけでなく、総合的な栄養素が必要です。特にタンパク質、鉄、亜鉛、そのほかのビタミンBと合わせて補給しましょう。

 ビオチンは、数年前から食品への添加が認可されていますし、食品中に広く存在している栄養素です。レバーや大豆、牛乳、ヨーグルト、玄米、特に卵黄中に多く含まれています。しかし、ある種の抗生物質や睡眠薬を服用している方、また生の卵白をよく口にする方は、吸収が悪いことがわかっています。別表の項目に思い当たる方は特に注意しましょう。

 不足を招く生活・時期

 ①生活リズムが不規則
 ②お酒をよく飲む
 ③コーヒーをよく飲む
 ④腸が悪い(ガスが出る、下痢や便秘を繰り返す)
 ⑤生卵をよく食べる(一日7~10個)
 ⑥抗生剤を長期服用
 ⑦乳幼児
 ⑧アトピー性皮膚炎がある

 

31.動脈硬化や認知症にも葉酸を | 目次 | 33.ビタミン様物質「イノシトール」