なるほど栄養学 現代人のカラダ事情<27>

が投稿

抗ストレスビタミン

パントテン酸 通称「パンスト」!?

 耳なじみの薄い「パントテン酸」。私は、「パントテン酸はストレスに良い!」ということから「パンスト」と覚えましょうと!と、言われてきました。

 パントテン酸という名称は、ギリシャ語の「どこにでもある酸」の意味から名付けられたもので、動植物界に広く存在する栄養素です。食品中に広く存在するため、通常の食生活を送る上で不足になることは無いと言われていますが果たしてどうでしょうか?

 私たちは、強いストレスが続くとパントテン酸が枯渇して疲労感が出やすくなります。パントテン酸はストレス負荷時に、副腎の働きを助けてくれるビタミンです。ストレスに打ち勝つためには必須の栄養素と言われています。

 また、傷の治りを早めたり、体内の酵素の140種以上の補酵素として働き、さまざまな代謝やホルモン合成を正常化にする役割を担っています。その他の主だった働きについては、別表を参考にしてください。

 また、パントテン酸は、性ホルモンやアセチルコリン、副腎皮質ホルモンなどの生合成に関与するなど、大変幅広く生体機能維持にかかわっていることが分かっています。さらに、末しょう神経や消化管を保護したり、アレルギー症状の緩和、抗生物質の副作用を軽減する効果もあります。

 仮に、パントテン酸が不足すると、ナイアシン欠乏のように、うつっぽくなったり、疲労、不眠、関節炎などが起こります。また脂肪と糖のエネルギー代謝ともかかわっているため、低血糖症の発現とも大きく関係します。

 パントテン酸は食品に多く含まれている栄養素です。しかし食品の加工や加熱に弱く、カフェイン、サルファ剤(化学療法薬)、睡眠薬、アルコールなどによって損なわれてしまうので、注意が必要です。穀類にも含まれているのですが、精製によって50%が失われてしまいます。

 ストレスが多く、加工食品やアルコール等を頻繁に口にする現代人は不足しがちな栄養素と言えそうです。抗ストレス対策には、サプリメントで適量摂取すると良いでしょう。

 そのほかの働き

 ①傷の治りを早める。B6や葉酸とともに、免疫抗体を作り、ウイルス等の感染に対処する。

②皮膚毛髪を守る。コラーゲン生成に必要なビタミンCの働きを助け、皮膚毛髪障害に対応。

 ③脂肪と糖のエネルギー代謝を助ける。脂肪の燃焼(脂肪酸のβ酸化)に関与し、肥満予防に役立つ。

 ④動脈硬化予防。善玉HDLコレステロールの生成を促すなど

 

26.ナイアシン不足 心にも影響 | 目次 | 28.肌と神経に影響ビタミンB6