成長痛も見逃さないで
成長期の鉄欠乏が起こすこと
「子どもが朝起きられなくて困る」「学校から帰ってくるとゴロゴロしている」「集中力がない」「やる気がない」「冷え性で…」などを訴え、カウンセリングに訪れる方が最近増えています。成長期の子は、極端に鉄が不足すると、このような症状が出現することがあります。ほかにも、別表のような症状を訴える子は、鉄欠乏を疑って間違いないです。
成長期において鉄は、軟骨を作る非常に重要な役割を持っており、この時期の鉄不足は軟骨の異常形成を起こすことがあります。これが「成長痛」と呼ばれるものです。
成長期の子が「ひざが痛い!」と症状を訴えた場合、整形外科の範囲で異常がなければ、鉄不足から来ていると考えてよいでしょう。
成長期には鉄の需要量が非常に高くなります。幼児期~小児期~思春期には体重が1kg増加につき35㎎~45㎎の鉄が必要と言われています。また女子は小学校高学年から月経が始まり、さらに鉄を失いやすくなります。この時期の不適切なダイエットは、鉄欠乏を促進します。女性としての基盤ができる時期の不適切なダイエットは注意が必要です。また、部活などのスポーツでよく体を動かす子も、多くの鉄分を必要とします。
特に症状がない場合でも、子どもの正しい体内鉄量を把握するために、貧血検査などで行われる「ヘモグロビン濃度」「ヘマトクリット値」以外にも、「血清フェリチン値」を測定し正確な鉄欠乏を把握することをお勧めします。血清フェリチン値は、血液ドックなどで測ることができます。
二度とない成長期に心身の健やかな成長を支え、子どもの可能性を広げるためにも、鉄を始め、栄養状態を把握して対策を立てることをお勧めします。成長期などの訴えを簡単に考えないようにしましょう!
鉄不足は総合的な栄養欠損です。造血に必要なビタミンB群やビタミンC、亜鉛、たんぱく質を合わせて摂ることも大切。鉄の補給だけでなく栄養バランスも考えて取り入れていきましょう!
鉄欠乏症の子どもの特色 |
▢ 体育の練習についていけない ▢ 全身のダルさを訴える ▢ 肩こり、めまいを起こしやすい ▢ 食欲不振 ▢ 午後の授業で居眠りする ▢ 動悸・息切れが激しい ▢ 頭痛・頭重を訴える ▢ 冷えやすい・寒がり |
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