取るべきは「ヘム鉄」
鉄不足を解消するには
これまで鉄の重要性についてお話してきましたが、鉄不足を改善していくためには、まず日常の食生活を見直す必要があります。ダイエット中で食べる量を減らしている人、朝食抜きなど食生活が不規則な人、好き嫌いが多い人、極端な菜食の人などは鉄不足に陥る可能性があります。
食品に含まれる鉄には2種類あり、肉や魚などの動物性食品に含まれる鉄=ヘム鉄(有機鉄)と、野菜、穀物など植物性食品に多い鉄=非ヘム鉄(無機鉄)に分けられます。これら2つの鉄では、腸での吸収率が大きく異なっています。
動物性食品のヘム鉄は、体内に吸収されやすいミオグロビンが豊富。運動量の多い筋肉は酸素を多く必要とするので、酸素を運搬するミオグロビン量が多いのです。マグロやカツオなど赤身のお魚も、長距離泳ぐため、ミオグロビンが豊富です。レバーにも鉄が豊富に含まれています。
ヘム鉄の吸収率は10~30%と高く、非ヘム鉄は1~5%と低いことも分かっています。大変ショックなことですが、非ヘム鉄は、体内で利用されることはほとんどありません。それは、フェリチン酸(玄米、豆類、全粒粉などの穀物の外皮に含まれる)や食物繊維など、鉄の吸収を抑制する成分が一緒に含まれていることが多いため、そのまま排泄されてしまうことが多いからです。なので、ほうれん草やプルーンを貧血や鉄欠乏改善のために摂っていても、効果は出にくいでしょう。しかし、食物繊維補給のためにお取りになることには良い食品です。
鉄の吸収や体内利用効果を考えると、牛や豚の赤身の肉、レバーなど動物性食品から鉄を補給することをお勧めします。また、鉄の吸収を良くするためには、ビタミンB群やビタミンC、亜鉛、たんぱく質を合わせて取ることも大切です。
貧血の方は、普通の食事だけで鉄を補うのは難しく、サプリメントで鉄を補うことが必要です。食事以外で鉄補給をお考えの方は、ヘム鉄のサプリメントが体内での利用効果も高く、害もないため良いでしょう。
鉄の吸収を促進・阻害する因子 |
鉄の吸収を促進する因子 鉄の吸収を妨げる因子 |
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