値が低過ぎも危険!
コレステロールは悪者か?
「体に悪い!」というらく印を押され、肩身の狭い思いをしている栄養素「コレステロール」。これほどまで、人々に誤解されている栄養素はないと思います。
そもそもコレステロールは脂質の一種で、人をはじめ動物が生きていく上で必要不可欠なものです。
誤解を招いている原因は、動脈硬化性との関連で研究がスタートしたことでしょう。米国で、血中コレステロールが高い人ほど、動脈硬化性疾患が発生するという研究が発表されたことをきっかけに、「コレステロール=成人病の元凶」という理解が広く世界に浸透したようです。
そのため、「コレステロール値は低い方が良い」という考えが広まり、値が低過ぎても問題ないと思っている方が多いでしょう。
体内のコレステロールは、タンパク質などとともに、細胞膜の重要な構成要素として働いています。その他、脂肪の消化や薬物の解毒に必要な「胆汁酸」、乳がんや大腸がん予防で注目されている「ビタミンD」もコレステロールから作られているのです。また生殖機能にかかわる「性ホルモン」や、ストレスに対応するための「副腎皮質ホルモン」などの材料にもなっています。脳や神経系、筋肉や皮膚、血液などの重要な場所に多く蓄えられ、それらの働きにも不可欠なものです。
コレステロール値が低過ぎると、血管や破れやすくなったり、ストレスに弱くなったり、性ホルモンがうまく作られず不妊の要因の一つにもなるとされています。最近では、コレステロールが低い人の方が、がんになる確率が高いといわれ、2000年に行われた調査結果によると、コレステロール値が200~240㎎/dlの人よりも180㎎/dl未満の人の方が、死亡率が2.5倍、がんの発症も2.6倍高かったというデータを報告しています。値が極端に高すぎる場合は別にして、ある程度高い方が長命だったということなのです。
コレステロールは、現代人の鬱症状や認知症とも深く関係しているといわれています。この機会にコレステロールについて正しい理解を深めましょう!次回はコレステロール値の目安についてです。
高過ぎ・低過ぎが起こすデメリット |
コレステロール値は、年齢、家族因子、ライフスタイルなどによってちょうど良い値に差はありますが(次回詳しく説明します)、高過ぎも、低過ぎも危険です。
高過ぎると 低過ぎると |
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