なるほど栄養学 現代人のカラダ事情<11>

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脳にエネルギー補給

糖質について

 3大栄養素の1つである「炭水化物」は、糖質と食物繊維に分けられます。今回は、その糖質について学んでみましょう!

 糖質はたんぱく質や脂質より、優先的にエネルギーとして利用されます。特に、脳や神経などは糖以外からエネルギーを使うことができないので、これらの働きを保つのに大変重要な栄養素です。エネルギーとして利用された後は、肝臓や筋肉にグリコーゲンというカタチで蓄えられ、余分に残った分が中性脂肪として貯蔵されます。

 近年、日本人は総エネルギーの約55%を糖質から取っているとのデータがありますが、その割合は年々減っています。1950年では、糖質からのエネルギーが約79%でした。逆に脂質から取る割合は年々増加傾向にあります。総カロリーに占める糖質の摂取割合が40%以下になると、エネルギー不足になるため、身体がだるくなったり、無気力になったりします。

 また、適度に糖質を摂取しても効率よく分解し、エネルギーを生産するためには、ビタミンB群が必要になります。①頭脳労働者➁スポーツをよくする方③成長期の子ども—-などは、ご飯やイモ、めん類、パンなどから良質な糖質を確保するのはもちろんのこと、ビタミンBも積極的に摂取することをオススメします。特に、ビタミンB1は摂取しにくい傾向にありますから、サプリメントで補給するのも良いでしょう。水溶性のビタミンB1は発汗時に失われるため、汗っかきの方や夏場は多めに取るようにしましょう。

 さらに、糖質は肥満の最大の要因として敬遠される傾向にありますが、問題はその種類にあり、すぐに脂肪蓄積の原因になるわけではありません。逆にダイエットを成功させたい人は、どの種類の糖質をどう取るかがポイントです。その詳細については次回説明いたします。

 このように、適切に糖質を確保することは、身体機能の維持だけでなく、脳パフォーマンスの向上にも必要不可欠なのです。

 極端な制限はダメ!
  糖質からエネルギーが確保できなくなると、体はタンパク質や脂肪からエネルギーを調達しようとします。すると、ストレスを促すホルモン「カテコールアミン」が分泌され、血管の収縮や心拍数の上昇を招きやすくなります。そのため、糖質を取らずにダイエットをすると自律神経のバランスを崩すことになりかねません。
 ダイエット時の極端な糖質制限は、タンパク質の分解につながり、筋肉の低下を招くことにもなります。

 

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