なるほど栄養学 現代人のカラダ事情<4>

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栄養は消化されてこそ

タンパク質の消化と吸収

 これまで、再三にわたってタンパク質を十分摂取するようにと書いてきました。しかし「意識してタンパク質を食べているのに、身になってない」「取れてないと言われた」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのメカニズムについてお話します。
 摂取したタンパク質は胃液、膵液、腸液などの消化酵素の働きによって分解され、アミノ酸となって小腸で吸収されます。吸収されたアミノ酸は肝臓へ運ばれ、そこで組織タンパク質や酵素、ホルモンなどに合成されます。消化酵素もアミノ酸から作られるため、タンパク質やアミノ酸が不足している人ほど消化酵素も不足し、タンパク質が低下するという悪循環が起こります。

 また、近年話題となっているピロリ菌感染者、萎縮胃の方、胃酸分泌抑制剤を服用している方、ストレスの多い方などは胃の働きが悪く、タンパク質をきちんと消化することが難しくなってきます。タンパク質不足を指摘される方は、消化器のチェックをした方が良いでしょう。特にピロリ菌感染の有無は、どなたも確認しておく必要があります。ピロリ菌感染者は胃粘膜トラブルのため栄養状態が悪化しやすく、タンパク質をはじめミネラル類の消化吸収機能が低下します。そのため多彩な症状を訴える方が少なくありません。

 さらに現代人は睡眠不足、食べ過ぎ、過労およびストレスなどの影響でライフスタイルが乱れ、自律神経の働きが崩れることにより、消化機能が低下しています。タンパク質の消化、吸収、代謝の良し悪しは摂取量はもちろんのこと、消化器の状態、規則正しい生活、適度な運動などが関与します。また、「腸は第二の脳」と言われているように、ストレスコントロールも合わせて考えなくてはいけません。

 摂取したタンパク質が上手に消化吸収されていない場合は、
①腹部膨満感(おなかが張る)
➁ガスや便に臭気がある
③軟便または下痢をする
④舌に白苔がある(早朝)
などの症状がでてきます。チェックしてみて下さい。

3.タンパク質について② | 目次 | 5.アミノ酸スコアって?