なるほど栄養学 現代人のカラダ事情<2>

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第一番目の栄養素

タンパク質について①
 栄養についてお話する前に、「食べる」ことについて考えてみましょう。ヒトはなぜ食べるのでしょう?
 植物は太陽や空気、水や土を利用して栄養を合成することができます。しかし、ヒトは植物のような仕組みを持っていないため「食べる」ことによって、生命を営んでいます。摂取する栄養は「タンパク質」「脂質」「糖質」「ミネラル」「ビタミン}に分けられ、体を支えています。
 特にタンパク質は、身体から水分を除いた、70%~80%を占める栄養素です。筋肉や骨、歯や内臓器官、皮膚、毛髪まで、すべてタンパク質からできています。また、血液やホルモン、免疫系の抗体などの材料でもあり、エネルギーにもなります。さらに、脳機能を維持する物質のほとんどはタンパク質が分解されたペプチドやアミノ酸、レシチンから作られており、一口にタンパク質といってもさまざまな働きがあることが分かります。
「プロテイン」と呼ばれるのは、ギリシャ語の「第一番目、優先すべきもの」という意の「プロスト」に由来しているのもうなずけますね。
 こんなに大切なタンパク質ですが、不足している人が非常に多い栄養素の一つです。人間は、60兆個もの細胞で組織されており、常に古い細胞が壊され(異化)、新しい細胞に作りかえ(同化)られています。異化と同化のバランスが取れていれば、健康な体を維持することができますが、タンパク質が不足すると異化に同化が付いていけず、体の不具合ができてきます。
 健康な体をキープするためには1日どの位のタンパク質を摂取する必要があると思いますか? 実は、1日当たり体重1㎏につき約1~1.5gが必要です。しかし、必要量は体内での利用率や日々の精神的なストレス、運動量などによって増加します(左上図参照)。
 次回は、タンパク質が足りているかどうかの目安&効果的な摂取方法についてお伝えします。

 どれだけ必要?
 タンパク質は体のいたるところに欠かせない栄養素のため、一日当たり体重1kgにつき約1~1.5gは確保したいもの。例えば体重50kgの人の場合、一日50g~75gのタンパク質が必要です。少なく感じるかもしれませんが、卵に換算するとなんと約10~12個分にもなります。
 必要量が増加する場合
 ◆ダイエット中の方

  減量中の方は、極端な食事制限やカロリー制限のため、タンパク質不足になりやすいです。キレイにやせるためにもタンパク質は大切です。

 ◆アスリートやよく体を動かす人
  体をよく動かす人は、筋肉が損傷を受け、通常の新陳代謝で作られる量よりも多くの筋肉組織を作らなければならないため、その材料となるタンパク質の必要量も増加します

 ◆成長期の子どもや、妊娠期、授乳期の母親
  骨や筋肉など体を作るもととなるので、しっかり摂取しましょう

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