なるほど栄養学 現代人のカラダ事情<26>

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ジャンクフードが原因

ナイアシン不足 心にも影響

 ナイアシンを用いた栄養療法で有名なカナダの精神医学者、ホッファーは初診時に、「あなたは今まで、どんなものを食べてきましたか?」と患者に投げかけます。

 私たちが何気なく口に入れているものは、肉体だけでなく、心(精神)にも深く影響を与えます。

 「ビタミンの事典(ビタミン学会編集 朝倉書店)」には、「ナイアシン欠乏を予防するには砂糖及び甘味料、菓子類、油脂類という食品群をとり過ぎないように注意しなければならない」とあります。まさに現代人が取り過ぎている食品群ではないでしょうか。インスタント食品やジャンクフードは、高カロリーですが、ビタミンやミネラル、タンパク質などの栄養素をほとんど含んでいません。もちろん、ナイアシンもほとんど無く、これらの食品を頻繁に食べる人は、かなりのナイアシン欠乏に陥っている可能性が高いです。特に気をつけたいのが、成長期の子どもの食生活です。菓子類の取り過ぎは、「やる気が出ない」「キレやすい」「集中力がない」「眠れない」などの症状と深く関係してきます。

 ビタミンB群は、エネルギー代謝はもちろん、神経ビタミンとしても重要な働きをしています。特にナイアシンは、「トリプトファン」という神経伝達物質からも合成され、食事からの摂取が足りないと、トリプトファンをどんどん消費します。すると、同じくトリプトファンを材料としている「セロトニン」の合成に支障をきたします。セロトニンは、やる気を起こす物質であり、睡眠を促す物質の材料でもあるため、不眠ややる気の無さといった症状が現れるのです。

 不眠傾向の人は、十分なタンパク質とともに、ナイアシンやビタミンB6を寝る前に取ると良いでしょう。バナナにはナイアシンやトリプトファンが多く含まれているので、イライラする時、キレそうな時に食べるのも良いでしょう。(しかし摂り過ぎには注意を!)

 また、ナイアシンには血管拡張作用もありますので、冷え性、頭痛に有用です。ただし、副作用に「ナイアシンフラッシュ」と呼ばれる身体のほてりが出ることがあります。その場合は量を減らしながら用いてください。

 ナイアシンを多く含む食品

 レバー、肉類(牛、豚、若鶏)、魚類(かつお、なまり節、まぐろなど)、ビール酵母(※ビールを発酵させるときに利用される酵母。ビールを飲んでもナイアシン摂取は期待できません)、小麦胚芽、卵など

 こんな人は不足がち

 ▢ 普段、肉や魚、豆類や牛乳をあまり取らない
 ▢ 外食が多い。菓子類やジャンクフードをよく食べる
 ▢ お酒をよく飲む
 ▢ ストレスが多い
 ▢ 夜更かしをする
 ▢ 不規則な食事

 

25.近年注目される「ナイアシン」 | 目次 | 27.パントテン酸 通称「パンスト」!?