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HOME > 基準値について考えてみましょう

 血液検査データが基準値に入っていれば、本当に良いのでしょうか?

例えば、
『昨年の血液検査は、基準値から10項目外れていたんだぁ。今年の検査では、なんと1項目しか外れていなかったよう。基準値から外れた項目数が減ったから、身体は昨年より良いのだぁ(やったー!)』と思う方がいます。

本当にそうなんでしょうか?

基準値を用いて身体の良い、悪い、病気が有る、無しを判断していいのでしょうか?

 基準値とは

基準値(範囲)は、
『病気ない集団(健常者)の95%が収まる統計上の範囲』です。
正常・異常を区別したり、特定の病態の有無を判断する値ではありません。

健常人の95%の方がこの値に含まれますが、
言い換えれば健康であっても5%の人が基準値から外れることになります。
また、病気の方の中にも基準値内に入る方もいることもあります。
ひとつの検査項目だけを見て判断したり、基準内、基準外で判断するのではなく、検査結果を総合的に見て判断する必要があります。

検査データにはさまざまな個人差があるため,定期的な検査を通じて、良好な時の自分自身のデータを把握し、そのときのデータと比較できることが理想です。

 基準値は検査会社、医療機関により違いがある

基準値は、検査会社、大学病院(国立、私立)、医療機関、健診、検診により採用している基準値が違います。
基準値は一定の範囲。統一された数値の範囲ではないということです。

 KYB目安値

現在、ケイショウカイでは、
推奨の血液検査を受けられた方への医師レポートでは、KYB目安値をひとつの判断指標に用い医療法人社団同心会 所属医師がコメントを作成しております。
※正確な診断には医師による個別的な診察が必要となります。

KYB目安値

医師レポートを作成する顧問機関、医療法人社団同心会では、分子栄養学研究所、分子整合栄養医学協会の研究成果より、KYB参考値、KYBディシジョンポイント、KYB目安値を診断基準のひとつに用いています。
各数値の範囲(KYB参考値、KYBディシジョンポイント、KYB目安値)は、1984年〜2004年の20年間に経時的にフェリチンを測定した健康に近い患者から無作為に抽出した15,608名(男性4,718名、女性10,898名)のフェリチンを解析し、治療の指標となるフェリチンの診断値を推定しました。その際に、他の検査項目も数値範囲が推定されました。
※統計解析機関:国立保健医療科学院

 -補足資料-
基準値の求め方と臨床判断値について

 
(1) 基準範囲(基準値)について
 基準範囲(基準値)は、統計学的に算出した数値範囲を用いています。

  病気がなく健康な人の集団を健常者とします。その健常者の測定結果を集計すると、通常、下の図のように左右対称の山型になります。このうち極端に高い数値2.5%と低い2.5%を除き、この平均値をはさんだ健常者の95%が含まれる範囲を基準範囲(基準値)として用いています。

前述したように、健常者の検査結果であるため、かつては「正常範囲(正常値)」と呼ばれていましたが、現在では『基準範囲 (基準値)』が一般的です。正常範囲という言葉には、あたかも「健康状態の指標である」などの多くの混乱や誤解があり、最近では、使用されなくなってきています。
例えば、基準値の出し方から明らかなように、健康な人でも5%は基準値からはずれることになります。
正確な診断には基準値(基準範囲)との比較だけではなく,医師による個別的な診察が必要となります。

(2) 臨床判断値について
基準範囲は,健常者の検査値の分布に基づき設定されておりますが、特定の疾患や病態、さらには治療の目標などを考慮して算出されていません。これに対し、臨床判断値は、特定の病気の診断基準・有無の判別、さらには治療の目標に用いられるものであり、概念自体が基準範囲と異なります。

例えば、日本糖尿病学会(空腹時血糖の区分)や日本動脈硬化学会(脂質異常症の診断基準)による基準値です。
(糖尿病51(3):281-283, 2008より抜粋)
(日本動脈硬化学会:動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版より抜粋.)

【 参考資料 】
東京大学医学部附属病院検査部
臨床検査値ガイドブック第2版
糖尿病治療ガイド2014-2015
日本臨床検査医学会ガイドライン(2012)
改訂5版 薬剤師のための臨床検査の知識