なるほど栄養学 現代人のカラダ事情<8>

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ストレスの多い方に

注目集める「グルタミン」

 グルタミンはタンパク質に最も多く含まれるアミノ酸です。体内で他のアミノ酸や糖の合成材料になったり、アンモニアの運搬体になるなど、多彩な機能を持ちます。

 しかし、グルタミンは体内で糖や他のアミノ酸から合成されるため、長い間「非必須アミノ酸」とみなされ栄養学的に重要性が理解されていませんでした。近年、多くの研究によって病態時などに必要量が高まることが明らかとなり、「準必須アミノ酸」と位置付けられて注目を集めています。

 実際、血清中のアミノ酸ではグルタミンが最も多く含まれています。それは、グルタミンがタンパク質の主要な構成成分であるだけではなく、エネルギーとなり、代謝の中心としても重要な役割をしているためです。例えば、小腸の上皮細胞は食物中のグルタミンをエネルギーとしています。長期の絶食や、点滴などによる静脈栄養ではグルタミンが腸管まで届かず、腸管内腔の細菌菌体毒性が血液中に移行する危険があります。そこで今では、経管栄養剤にグルタミンを添加するようになっています。

 また、グルタミンは白血球など免疫細胞の重要なエネルギーとして、感染から体を守る働きを助けています。そのため、急性胃腸炎からの回復促進にも用いられることがあります。脳内髄液に多く存在するアミノ酸でもあり、脳内環境の維持にも働いています。

 さらに最近の研究では、ラットにグルタミンを摂取させると脂肪の蓄積抑制効果があったことが報告されており、メタボの予防や治療に効果が期待されています。

 グルタミンは食品中に多く含まれていますが、必要な時はサプリメントなどでの補給をお薦めします。ストレスの多い方はグルタミン需要が上昇します。ストレス時に下痢、軟便気味になる方は、時に意識して補給に努めましょう。逆に便秘気味の方は使用を控えめに。

 重症肝硬変患者や腎不全患者は摂取に注意が必要です。、医師と相談しましょう。

 

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