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 2000年に男性の平均寿命が26位に転落した「26ショック」以降、健康長寿食であったはずの沖縄の食が揺らいでいます。時代とともに変わってしまった沖縄の伝統食をもう一度見直し、先人の食に関する英知を学ぼうと1988年より活動を続けているのが、琉球大学家政学科元助教授の友利知子さんが主宰する「沖縄の食を考える会」です。
 「沖縄が世界に冠たる長寿県でいられたのは伝統食のおかげ。今こそ先人が築いた長寿の遺産である伝統食の原点を見つめ直し、理論的・科学的に光を当て、現代の生活にどう生かすかを考える。”温故知新”が大事」と話すのは、同会会員の崎浜キヌさん。栄養学の専門家として県内教育機関での講師を長年務め、自身でも栄養クリニックを主宰する中、同会発足当時より地道な活動を続けています。
 現在のメンバー8名は元高校教諭や元短大講師、管理栄養士などで、月一回の定例会で沖縄の食の成り立ちや問題点についての勉強会、沖縄の食材を使った新しい料理の開発などを行っています。

 「沖縄の伝統食の特色は、海は熱帯、陸は亜熱帯という気候条件に適して育つ生命力あふれる食材にあります。さらに、『食は文化を映す鏡』といわれるように、日中両国や東南アジア諸国との交易の影響を受けつつも、沖縄の気候風土に合うよう発展させてきた点が先人の英知」と崎浜さん。加えて中国からの冊封使や薩摩の役人を歓待する「おもてなし料理」が琉球の食文化を豊かにしました。それは中身汁やソーキ汁といった沖縄の祝いや法事などの行事料理として現在も受け継がれ、材料の取り合わせや調理法において完成されています。これらの要素が総合的に沖縄の長寿を有利にしたと考えらています。
 「沖縄の食を考える会」では、かつて庶民の主食が芋だったことが健康長寿の秘訣だったと指摘。芋はエネルギー源になるだけでなく、米には期待できないビタミンやミネラル、繊維質を多く含み、芋に足りない脂肪やたんぱく質を豚肉や豆腐、魚などで補ったことが、「栄養バランスの取れた生活習慣病予防の食事となった」と崎浜さん。
 本当は主食が米になった時点で主菜の中身は見直されるべきでしたが、手軽に作れて県民の嗜好に会った主菜「チャンプルー」にさらにポークなどの加工品や大量の豆腐、油が使われるようになり、ボリュームある食パターンが定着。高脂肪・高カロリー化したことが、県民の長寿を後退させた一因ではないかとしています。

 崎浜さんらメンバーは沖縄に健康長寿を取り戻す一助として、主菜となるチャンプルーの中身を見直して適正量を示しながら、それに酢の物や和え物などの副菜、汁物を加えた一汁三菜メニューを提案。
 「沖縄の伝統的な家庭料理は素材の特性を生かした調理法が体系化されています。中でも葉野菜類をさっと炒めるチャンプルー、シブイなどの果菜類をだし汁とみそで煮込むンブシー、根菜類や海藻類にだし汁を加えて煮込むイリチ―は、すべて現在不足しがちな野菜類が摂れる主菜になります。

 

他にも沖縄の伝統食は豚とかつおだしを合わせたり、豚肉を茹でて脂肪分を落とすなど独特の知恵が満載で継承できないと本当にもったいない」と崎浜さん。先人が遺した宝を現代に伝えるための地道な努力は続きます。

<Churashima okinawa 2012.12に掲載>