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naruhodo第3回
タンパク栄養について②

2016,05,11 <vol 3>

 多くの方が、「肉も魚も食べているし、タンパク質は十分摂取できている!」と思っているのではないでしょうか?飽食と言われる現代で、まさか不足しているとは思っていないでしょう。ところが、タンパク質は糖質や脂肪とは異なり食いだめができないため、不足しがちな栄養素なのです。

タンパク質は、体内でアミノ酸に分解されて血液や細胞、組織、臓器などを構成する材料どなり、身体の部品交代に使われます。体内でのタンパク質心新旧交代は非常に活発で、肝臓、腎臓、腸粘膜などは約10日間で入れ替わります。また、そのほかの組織でも一定のスピードで絶えずタンパク質は部品を取り替えており、体全体としては約3週間でタンパク質の半分が新陳代謝されています。(下表①)従って、タンパク質は毎日、いや毎食補給しなければいけない栄養素ということになるのです。 私たちは、タンパク貿が不足すると、自己チェックリスト(下表②)のようなさまざまな症状が表れます。チェックしてみてください。

自己チェックリストでの判断もいいのですが、やはり一番の根拠となる指標が、血液検査データです。病気や疾患がないことを前提にし、数種の検査項目を見ることで、その不足の程度を知る事ができます。

尿素窒素(BUN)という項目はタンパクの状態を把握する大切な血液検査項目です。尿素窒素の窒素は、タンパク質を構成するアミノ酸の最終代謝産物なので、摂取量をダイレクトに反映します。しっかりタンパク質が取れている方はBUNが16~18になります。(腎機能正常な方は)BUNが10以下の方は間違いなくタンパク摂取の不足があります。
その他に、鉄量を把握する有名な項目、ヘモグロビン(HB)、フェリチンが低値の方も間違いなくタンパクの不足があります。ヘモグロビン、フェリチンともタンパク+鉄で構成されているため、その不足は鉄だけでなく、タンパクの不足も考えられます。

空腹時血糖値、GOT、GPT、白血球数、コレステロール値、尿酸値などもタンパクの摂取状況を把握することができる項目です。

大人のからだを健康に保つには、1日当たり体重1kgにつき1~1.5g程度のタンパク質が必要といわれます。例えば、体重60kgの人は1日約60~90gのタンパク質が毎日必要になります。からだが必要とするタンパク質の量は、年齢やストレス(精神的なもの、寒さや暑さ、筋肉トレーニングなど)などによって増えます。

「タンパク質をたくさん食べると腎臓に負担がかかる。」こんなことを心配される方がいらっしゃるかもしれません。

しかし、現時点では健康な成人がタンパク質を摂りすぎることによる健康障害を示す十分な報告は見当たっていません。ただし、さまざまな報告から、成人は年齢にかかわらず、1日体重1kg当たり2.0gにとどめるのが適当である、ということがいわれています(日本人の食事摂取基準2010年版)。

※すでに腎臓の病気などをお持ちの方は、医師のもとで管理を行うことをおすすめいたします。

表①

20160511

表②

以下の項目の中で、該当するものをチェックしてみましょう。10項目のうち3項目以上が該当したら、もしかするとタンパク質不足かもしれません。

20160511-1

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